○燃料中に炭素成分が無いので、燃焼させてもCO2の発生が無く温暖化対策には有利。(燃料製造時の発生は別)

○CO,HCといった有害ガスの発生がない。ただし水素の高温燃焼により吸入空気中の窒素と酸素が反応してNOxが生成
 するので、NOx低減対策は必要になる。

○通常の水素エンジンは予混合火花点火の燃焼方式となるため、高出力時に空気と水素との混合ガスを大量にエンジンに 送り込む必要がある。しかし気体である水素は混合気の容積が液体燃料よりも増えるため、高出力が得にくい。

○高出力化対策として、気筒内直接噴射式が考えられるが、水素に適応した噴射ノズルの設計・製造が難しい。

○水素の燃焼速度が速いために、レシプロエンジンではノッキングやバックファイヤーが生じやすい。

○燃料としての水素は、可燃限界が広いため、万が一リークした時には着火、爆発の危険性が高まる。そのため安全

 対策には細心の注意が必要である。

○水素は引火し燃えても、火炎が見えにくく消火しにくい。また爆発しやすいため、燃料の漏れ検知対策が不可欠。

○衝突時の燃料タンクの安全対策は特に重要。衝突・引火時の火炎の方向にも配慮が必要。

○水素の物性に起因する金属脆性への対策も重要。
水素燃料自動車の特徴
6.水素燃料自動車
  
(エンジン内で水素を燃焼させて駆動エネルギーを得る車)

燃料としてジメチルエーテル(DME) H3C-O-CH3を用いる。DMEの燃料としての特徴は、

○常温では気体であるが、5気圧程度の加圧で液化するため貯蔵や輸送の扱いが楽になる。

○液体状態で車のボンベに充填可能。すなわちCNGよりも燃料密度を高められるので、1充填あたりの走行距離で有利

○DMEは軽油と同様に圧縮着火が可能。すなわちディーゼルエンジン並の高効率が得られる。

○燃料中に酸素原子を含むため、圧縮着火させても軽油のようにPM(黒煙等)を生成しない。このため、軽油ディーゼ

 ルエンジンに比べて、低回転時のエンジントルクを高めることができ、実用性が向上する。

○軽油ディーゼルエンジンにおいてPM対策・燃費対策とNOx対策は一般にトレードオフの関係にあるが、酸素原子を

 含むDME燃料ではPM生成が極めて少ないため、大量EGRや噴射時期コントロール等のNOx対策を進める上で有利。

○燃料中に硫黄分がないため、硫黄酸化物の生成を心配せずに強力な酸化触媒によってCOやHCなどの浄化が可能。

一方、

○燃料の性質に起因した燃料の冷却や自動車運転休止中の燃料の配管中からの排除(パージ)対策などが必要。

○DME燃料は潤滑性において軽油より劣り、潤滑性向上剤等の対策が必要となる。また低粘性に起因するリーク

 対策なども必要。

○燃料単位重量あたりの発熱量が軽油やLPGよりも低い。したがって走行距離の点ではこれらの燃料の車よりやや劣る。

ジメチルエーテル(DME)自動車の特徴

国交省「次世代低公害車開発促進プロジェクト」で開発されたDME車

5.ジメチルエーテル(DME)自動車

○圧縮天然ガスを燃料に用いるCNG自動車と、液化した天然ガスを専用ボンベで搭載するLNG車の2タイプが存在する。

○CNG車は、原理的に燃料のエネルギー密度を一定以上には高められないため、1充填あたりの走行距離の点では不利になる。

○LNG車は、充填時間がCNGより短い。また車両搭載時の燃料密度が高いので、1充填あたりの走行距離を伸ばす上では有利である。

 しかしLNG燃料は冷却しないとタンク内で気化して高圧になるので、タンクの断熱対策や内圧の管理が問題となる。

○天然ガスの自動車利用では、小型車から大型車、バス等、幅広い車種に展開されている。

○エンジンでの燃焼はガソリンエンジンと同様に予混合吸引、火花点火方式が使われる。そのためエンジンの熱効率は

 圧縮着火方式のディーゼル車に比べて劣る。特に部分負荷時には、ガソリンエンジンと同様に熱効率が低下する。

○高出力時は、大量の空気と燃料をシリンダ内に送り込む必要があるが、燃料が気体のため液体燃料を使うガソリン

 エンジンに比べて不利である。高出力が要求される車では、エンジンの排気量アップが必要になる場合が多い。

○排出ガス対策としては、ガソリン車と同様に三元触媒システムが適用できる。しかし空燃比の精密な制御は、ガソリン

 エンジンに比べて難しくなる。ただし、燃料の分子構造や組成比から燃焼時に粒子状物質の生成は極めて少ない。またコールド

 スタート時のCO、HC等の排出ガスもガソリンエンジンに比べると少なく有利である。

天然ガス自動車の特徴
4.天然ガス自動車

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技術解説ー新燃料自動車の動向6
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