(1)試験車の主電池充電

 5~32℃の環境下で自動車製作者が指定した充電器と充電方法で、試験対象のEVの完全充電を行う。

(2) 台上モードサイクル運転の開始

 充電終了後4時間以内に、十分暖機したシャシダイナモメータ上で規定のモード走行を行う。

(3)モードサイクル走行の繰り返し実行

 1充電あたりの走行距離を求めるため、規定の試験モードを所定の打ち切り条件に達するまで繰り返し運転する。30分以上走行した後で3分以内のドライバー交代等の中断はOK。ただし中断の累積時間は15分以内。

(4)モード走行の終了

 サイクル運転の打ち切りは、EVの主電池残存容量警報装置等によって車両停止指示が出された場合、または電池残存容量の不足によりモード運転が維持できずモード追従の許容誤差の逸脱が継続した場合とする。

(5) 1充電走行距離の測定

 モードサイクル走行の開始から終了までの間にこのEVが走行した距離を、シャシダイナモメータのローラ累積回転数から算出する。この距離が1充電走行距離Dとなる。

(6)交流電力量消費率の測定

 試験終了後、2時間以内に試験車を充電電源に接続し、メーカーが指定した充電器と充電方法で主電池を完全充電状態まで回復させ、これに要した交流電源(充電器への交流電源の入力側)の充電電力量を測定する。

EVの試験手順

バッテリー状態で規定のモードを連続走行。

(モード運転ができなくなるまで)

 EVのエネルギー消費率を測定する方法が自動車審査基準に定められているので、以下にそれを紹介します。

EVの場合も、規定の試験モードサイクルをシャシダイナモメータ上で運転して、その際のエネルギー消費効率を評価する点では、ガソリン車、ディーゼル車と共通です。ただしEVは消費エネルギーが電気のため、1km走行あたりの交流電力消費率で表示します。また1充電あたりの走行距離もEVの実用性にとっては重要な問題なので、合わせて測定します。

 EVの平坦路走行抵抗の測定とシャシダイナモメータにおける負荷設定、等価慣性質量の設定は、ガソリン車と同様です。走行モードは、ガソリン車の燃費評価で使う試験モードと同じになります。

 台上試験によるEVのエネルギー消費効率や1充電走行距離の測定の概念を下図に示します。

 電気自動車(EV)は排出ガスがゼロな上に、電気は化石燃料に限らず自然エネルギー、再生可能エネルギーなどさまざまな資源から発電することができ、さらにEV自体の効率の高さからCO2の排出削減にも役立ちます。またユーザーにとっても、EVは音が静かで走行距離あたりのコスト(電気代)がガソリンより安くなるメリットもあるため、究極の自動車といわれています。

 EVの課題は、 (a)1充電航続距離の確保、(b)移動先での充電時間の短縮、(c)実用上問題のないパワー・ウェイト比、(d)長期に渡る信頼性、耐久性などです。特に(a)は大きな制約であり、その解決には高いエネルギー密度、高耐久、低コストのバッテリー開発が不可欠となります。航続距離の延伸にはバッテリー容量の増加が必要ですが、リチウムイオン電池のように高いエネルギー密度を持つバッテリーが急速に進歩したことや、小型化とハイパワー化を両立するモータ制御技術が進展したこともあり、今ではEV開発が世界的な広がりを見せています。

5.電気自動車のシャシダイナモ試験(電費測定)

公益財団法人日本自動車輸送技術協会は、自動車の安全確保、環境保全に役立つ各種の試験、調査、研究を行うことで社会に貢献しています。

以前のホームページ

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技術解説ー電気自動車、ハイブリッド車の評価5
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