さらに下の写真のようにモード走行中の回転タイヤの表面温度分布もリアルタイムに測定することができます。

 タイヤのころがり抵抗は、タイヤ温度によって変化することが知られており、温度が上がるほど抵抗値が小さくなります。タイヤの温度は自身の回転損失に伴う発熱と外気温及びタイヤへの冷却風の当たり方、さらにタイヤとの接触面(路面やローラ)の温度条件に影響されて変化します。実路での転がり抵抗の測定が安定しないのもこのことが原因です。
 当協会昭島研究室では、下左の写真のようにモード走行中のタイヤ温度変化をリアルタイムに計測する試験も実施可能です。

 また連携している(株)小野測器の先進多機能タイヤ試験器を用いて、下右図のようにタイヤ温度を変化させてタイヤ転がり抵抗の温度係数を求める試験も行うころができます。(この試験の場合は、使用設備の関係で小野測器との共同実施が前提となります)

タイヤの温度特性の評価試験

この試験方法では、評価対象のタイヤを全輪に装着した上で、シャシダイナモのASR指令によりローラー側からJC08モード等の速度変化を与えて、前後ローラの表面力(ダイナモ駆動トルクからシャシダイナモ側の回転慣性力及び回転メカロスを差し引いた値)を求めモード区間で積算することにより、モード走行時の車両側の全走行損失を求めます。この損失には車両内部の動力伝達ロス分も含まれていますが、比較用の基準タイヤとの差分を求めることにより、モード走行時のタイヤロスの違いを見ることができます。なお減速中はマイナス慣性力が作用することによってタイヤ自身のロス分は補われるので、ロスの積算処理には含めません。この試験手法では過渡走行条件下でのタイヤ損失が求められるので、モード燃費との関係性をより正確に見ることができます。

 この試験手法でも個々のタイヤの損失量を直接測定するものとはなりませんが、基準タイヤとの差分を取ることによりタイヤ間の相対差が求まられるので、結果的に実走行状態のような加減速運転時のタイヤの損失特性(①の定常条件の時の損失よりも大きくなるのが一般的)が比較できます

②モード走行時のタイヤ損失量の測定

 この方法は、4WDシャシダイナモメータに試験車を設置し、基準タイヤと複数の比較タイヤをそれぞれ4輪とも付け替えて、台上惰行による減速惰行時間を測定するか、あるいは4WDシャシダイナモメータ側からローラを駆動する時の前後ローラの回転力(ローラ表面力)を測定する方法で、基準タイヤとの差分を求める方法でタイヤ抵抗を比較します。

 車両側の全転がり抵抗は、シャシダイナモ上の惰行試験あるいはシャシダイナモのローラをASR制御で回転させる時のローラ表面力等から算出できますが、これらの方法では、原理的に個々のタイヤの損失を直接求めることはできません。しかし基準タイヤとの相対差が求められるので、タイヤ間の損失特性の比較を行うことができます。

①シャシダイナモメータによるタイヤ損失量の比較測定

4WDシャシダイナモメータを使って、タイヤの損失特性を比較する評価方法

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